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千宗屋さん(武者小路千家第15代家元後嗣) | 藤田美術館 | FUJITA MUSEUM
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ART TALK

ART TALK_20|茶事とアート 後編

千宗屋さん(武者小路千家第15代家元後嗣)

藤田美術館としても、藤田館長個人としても大変お世話になり、親しくさせていただいている武者小路千家第15代家元後嗣 千 宗屋さんとの待望のアートトークが実現しました。後編では、今後の美術館やお茶会のあり方など、未来へと広がる対話をお届けします。

藤田美術館の庭にある茶室「光雪庵」前にて、千宗屋さん(右)と藤田清館長(左)。

 

館長、いきなりのオファー

藤田 清 藤田美術館は、展示室の前に広い「土間」を設けています。ここはどなたでもお入りいただけるようにしていて、「あみじま茶屋」ではお茶とお団子も提供しています。

 

千 宗屋 今では、インターネットの「大阪のおすすめスポット」のような記事には必ず紹介されていますね。「現代の和カフェ」、「映え美術館」と。

 

藤田 美術に興味があるかどうかはあとの話で、まずここに来ていただきたいと考えていたので、本当に有難いです。

 

千 私も素晴らしいことだと思います。

 

藤田 そのかたがたに展示室に入ってもらえるような工夫も、これからはもっと考えていきたいと思っています。今は、展示室のスペースを4つに分けて1つをクローズし、3つのスペースを順繰りに変えています。

 

千 3つのスペースそれぞれに、漢字一文字のテーマが付けられていますね。あれ、いいですよね。

 

藤田 ……ひと部屋やりませんか? 

千 えっ!?

 

藤田 キュレーションというのとは規模的にもちょっと違うかもしれませんが、たとえば、館蔵の作品だけでなくてもいいと思うんですよね。さきほどのマヨネーズスプーン(前編)のように。

 

千 ああ、それはいいですね。リアル対比(笑)。

 

藤田 遊び部屋として、どうでしょうか。

 

千 なるほど。面白そうですね。ひたすら茶杓だけ並べるとか。……やっぱりあれかな、あれをやらないと。

 

藤田 ……厨子? だめです(笑)。

 

千 「楽茶碗と厨子」。「備前焼と茶人の書」とか、「上代仮名と蓋置」。

 

藤田 旧美術館時代の展覧会のテーマですね。よく覚えてはりますね(笑)。

 

千 実際に展示は拝見していませんが、昔の図録を見て、なんでこの組み合わせなのかな?と(笑)。

 

藤田 シナジーが生まれにくい組み合わせ。

 

千 蔵の展示室の1階と2階に分けてはったのかな?

 

藤田 そうです。1階と2階で違うことをやろうということで企画していたようです。エレベーターがないので、重いものは上に運べないとか、色々あったみたいですね。

 

千 ということは「上代仮名と蓋置」だと、1階に蓋置ばかりが並んでいたのか?と疑問が。

 

藤田 お茶道具のなかでもとくに地味な存在ですよね。そもそも、蓋置、そんなに所蔵してたかな?と思うんですけれどもね。

 

千 マニアックですよね。もちろん、そこがグッとくるのですが(笑)。

 

美術の楽しみかたを考える

藤田 美術家の杉本博司さんの姫路での展覧会(姫路市立美術館「杉本博司 本歌取りー日本文化の伝承と飛翔」2022年9月17日〜11月6日)でもご一緒させてもらいましたが、あれを観て、あの、ふざけているというと言い過ぎですが、面白がるという、そういう観かたができるというのが、本当の美術の楽しみ方なのかもしれないと思います。

 

千 しかも、杉本さんは美術を作り出している側の人でもありますからね。

 

藤田 そうですね、余計に必然性がありますね。そういう目で美術品を見てもいいんだ、と気づかせていただきました。

千 我々が研究している美術史などでは、主観をまじえずに、第三者の目というか、三人称で語らなければならないという不文律のようなものがあります。ただ、そもそも三人称だって誰かの主観というか、主観の積み重ね、最大公約数なわけで、それが絶対とは言い切れないのではないかと思います。だとすれば、思い切って振りかぶって、一人称で好き嫌いを言ってもいいのではないか。私も大学で美術史の授業などをするときは、水墨画の観かたなどは、いかにも高尚な侘び寂びの世界で考えるとやはり難しいけれど、そこではなくて、いっそ面白いモチーフ、たとえば変な顔の人物を探してはどうだろう?などということを学生に話しています。

 

藤田 知識としては別ですが、どんな理解であっても、それはそれで楽しみ方としては間違っていないですよね。

 

千 中国の水墨画には臥遊(がゆう)という言葉があって、寝っ転がって見てその絵の中に入り込んで遊べるかどうかというのがキーポイントなので、自分がその作品に入り込んで楽しめる世界観があるとすれば、それも大いにあり得るんですよね。好き嫌いとか、自分の言葉で美術を語るということが、実はとても大切なことなのではないかと思います。

 

藤田 おっしゃる通りですね。藤田美術館でも、そういう楽しみ方、観方をサポートできればと思います。ここで若宗匠に展示をしていただくとしても、先入観なしに面白がっていただくために、ひょっとしたら名前を隠して展示してもいいかもしれません。

 

千 4人くらいの選者を立てて、それぞれ覆面でやって、さて誰でしょう?とやっても面白いかもしれませんね。

 

新しいお茶会のあり方とは?

藤田 加えて、お茶室をどう使うのかということが課題です。お茶会って、本当に三密が全部含まれていますものね。

 

千 それがお茶のいいところですからね。人間は本来、密なるものを求めていますから。密接、密着ですね。うちの子どもを見ていたらすぐにわかりますよ。離れたらすぐに泣くし、顔が見えなければ泣くんですから。くっついていたら一番安心できますからね。

 

藤田 やはり本能として、どこかにあるのでしょうね。それが新型コロナでできないことが増えてしまって。

 

千 まさに茶室ってそういう空間ですよね。母胎回帰ともいえるような。

 

藤田 そういうことを、どうやってお茶として表現するか。

 

千 ここは美術館という公共の場でもあるので、より多くのかたが参加できるような、開かれたお茶会であるべきですよね。

藤田 それをどう展開するかというと、以前にも僕たちの間で話をしましたが、小間で見知った人4人くらいでするお茶会のライブ中継をして、それを別の広い場所で多くの人に見ていただき、そこでお茶も飲んでいただく。終わったら小間のお道具を見られるようにして、解説もするという形にすると、新しい大寄せのお茶会ができるのではないかと。

 

千 大広間に40〜50人入って、遠くからお点前を見るというのではなく、少人数の親密なお茶会の生のやりとりを多くの人が共有するという、劇場型茶会ともいうべきものですね。そうすれば、1席で50人どころか、何百人の人が同じ体験を共有できるということにもなりますね。

 

藤田 そうですね。それ、ぜひチャレンジしてみたいですよね。ところで、そろそろ喉が乾いていらっしゃるのではないかと……。

 

千 はい、ぜひ。

お茶碗右から《青井戸茶碗 銘 蝉丸》、《大名物古高麗割高台茶碗》、《絵半使割高台茶碗》。

千 あ、これは《蝉丸》でしたっけ。

 

藤田 そうです。さすがです。

《青井戸茶碗 銘 蝉丸》

千 使い込んでこうなったのか、もともと釉がかりが薄いのか、見込みの土味がむきだしのようになっているところがあって、よくかせています。10月の名残のお茶には最適なお茶碗ですね。今日は高麗茶碗で攻めていますね。

 

藤田 はい、今日は高麗攻めです。どれでいきますか?

 

千 そうですね……では絵半使、いや割高台も気になりますね、うーん……。

藤田 悩んでますね(笑)。お茶会って、ただ形式に従うだけではなくて、人間らしさが出るというか、だいたい、ひとりは何かやらかしたり、エピソードが出来たりするじゃないですか。

 

千 印象に残っているやらかしの話を聞きたいですね。

 

藤田 僕自身のやらかしなんですが、さる流派の家元のお茶事で、緊張していたのと、お酒がすごくおいしかったのとで、僕ともうひとりのお客さんの2人で止まらなくなってしまったことがありました。素晴らしい徳利に入っているお酒がすぐに空いて、家元に「あの〜お酒を所望してよろしいでしょうか」っていうのを何度か繰り返すうちに、1升くらい入りそうな花入れにぱんぱんにお酒を入れて持ってきてくださって、「こんなに酒飲んだ人今までいないよ」ってどんと置いて行かれて。「お預けだ、勝手にやってくれ」って。これはお酒のやらかしですかね。反省しています。

千 私はそりゃ、山ほどありますよ。事件としてひやっとしたのだと、私がお点前をしていたときのことなのですが、お道具拝見のときに、ある人の手元から細川三斎の共筒の茶杓の筒の詰蓋がころころ〜って転がって、炉の中にぽとん、と落ちて。私はあっ!と思って、何も考えずに炉の中に手を突っ込んで救出しました。幸いに、炉の灰形の山の外にあったので、焦げはしませんでしたが。

 

藤田 中だったら大変でしたね。練り香とはちょっと違う匂いが漂ったかもしれません。

 

千 詰蓋がぽろっと落ちてころころっと転がって釜に当たり、炉にぽとんと落ちる。そのシーンは2回くらい見ていますね。

 

藤田 しっかり嵌まっていないこともありますものね。

 

千 あとは、あるお茶事のときにお客さまがその時に使ったお茶碗をすごく褒めてくださり、お礼状にも「あの茶碗が忘れられない、また見せてほしい」と書いてあって、私も好きなお茶碗だったので嬉しくて、よかったなと思っていたのですが、その後、ふとしたきっかけから、褒めてくださった本人が過去に持っていたお茶碗だったことが判明したこともありました。どうりで、と(笑)。

 

藤田 物忘れが……(笑)。お茶会のなかの会話って、いわば、こんな感じなんですよね。

 

千 そうですね。きりがない。

藤田 そこまで内輪の話を外に発信する必要はないかもしれませんが、それでも見えたほうが本当は面白いのかなとも思います。

 

千 あまりにも日常の会話と正反対だと思われ過ぎているところがありますからね。そもそもコミュニケーションすることがお茶会の目的ですから。言葉、会話だけではない、さまざまなコミュニケーションですね。

 

藤田 そういった言外のコミュニケーションも含めて、たとえばですが、ライブで見ていただいた後、もう1回録画を流して振り返りながら解説することも考えられますし、それこそ橋本麻里さんは、実況中継をしたいとおっしゃっていました。

 

千 当意即妙に説明を入れたり、質問したりしてくれそうですね。

 

藤田 藤田美術館には小間(茶室「光雪庵」)があって、広間もあって、土間ではプロジェクターで映像も見ていただけますし。あとは、映像をどう撮るかという問題もありますが。

 

千 そこ大事ですよね。しっかり見せるための照明にするか、雰囲気を重視するかでも違いますし。

 

藤田 僕らが全員、こめかみのところにカメラ付けるのも変ですしね。

 

千 それでお茶会そのものの雰囲気が変わってしまうとすると、本末転倒のような気もしますしね。でも、いろいろ工夫して考えて、ぜひやってみたいですね。

 

藤田 はい、実験的にでも、ぜひやりましょう。本日はありがとうございました。

 

千 宗屋(せん そうおく)

1975年京都生まれ。武者小路千家第15代家元後嗣。斎号は隨縁斎(ずいえんさい)。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学大学院前期博士課程修了(中世日本絵画史)。2008年、文化庁文化交流使としてニューヨークを拠点に世界各国で活動。明治学院大学非常勤講師、慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授、同志社大学特別講師を歴任。近著に『千 宗屋の和菓子十二か月』(文化出版局)

 

藤田 清(ふじた きよし)

1978年神戸生まれ。大学卒業後、藤田美術館に学芸員として勤務。2013年に館長就任。藤田傳三郎から数えて五代目にあたる。

 

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